医療翻訳を始めるにあたり、まず一通り目を通すべき書類があります。
それが次の3点です。
ICHガイドライン
日本薬局方
いずれも製薬業界で働く人なら必ず目を通している資料で、医療翻訳でも製薬の流れや用語などを知るために必要なものです。
この記事では、それぞれの資料について解説していきます。
本業は、米国医療機器メーカーで働く医療翻訳者。副業は18年目になりました。英語で副業したい人にわかりやすく解説します。
日本の薬事行政
日本製薬工業協会が、日本の薬事規制や関係法規、医薬品の開発から製造販売後の管理までについてまとめて、無料で公開しています。
英語版もありますので、両方ともダウンロードして一度目を通してみてください。
医療翻訳をする際には、できるだけこうした公式文書からの訳語や表現を使いましょう。
日本の薬事行政2020 (最新版)
目次
第1章 厚生労働省の組織
第2章 薬事関係法規と規制
第3章 医薬品の開発
第4章 医薬品の製造販売後の調査等と安全管理
第5章 医薬品の安全管理情報の提供・伝達
第6章 医療保険制度と薬価基準
ダウンロードはこちら
原文: 日本の薬事行政 2020
英文: Pharmaceutical Administration and Regulations in Japan 2020
ICHガイドライン
ICHとは、医薬品規制調和国際会議 (International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use)のことで、医薬品規制当局と製薬業界が協力して、医薬品規制に関するガイドラインを作成する国際会議のことです。
ICHでは、医薬品の品質・有効性・安全性の各分野のトピックごとに、各専門家が作業部会で協議し、ガイドラインの作成を行っています。
ICHは、安全性・有効性及び品質の高い医薬品が確実に開発され上市できるよう、法人の主体となる総会(Assembly)、管理委員会(Management Committee)、各作業部会(Working Group)等から成り立っています。
ICHガイドライン 4つの分野
Quality (品質) : 品質に関するガイドライン
Safety (安全性) : 非臨床に関するガイドライン
Efficacy (有効性) : 臨床に関するガイドライン
Multidiscriplinary (複合領域) : 品質・安全性・有効性の複数領域に関わるガイドライン
各リンク先には、ガイドラインの原文と英文があります。※英文がないものもあります。
医療翻訳をする際に、需要の点から読んでおくべき資料は「有効性」のガイドラインです。英文があるものは合わせてチェックしておきましょう。
日本薬局方
日本薬局方は薬機法第41条に基づき、厚生労働大臣が定めた医薬品の規格基準書です。
日本薬局方は通則、生薬総則、製剤総則、一般試験法及び医薬品各条から構成され、主に日本国内で流通している医薬品が収載されています。
実際には医療専門家(医師、看護師、薬剤師など)向けの資料であるため、専門知識がないと難しいと思いますが、医療翻訳をする際には参考にしたい資料です。
リンク先:第十九改正日本薬局方 原文・英文あり (2022年現在)
しっかり読んで医療翻訳に活用しよう
医療翻訳をやるにあたり、参考になる資料3点をご紹介しました。
ICHガイドライン
日本薬局方
せっかく対訳があるのですから、表現集や訳語集を自作しましょう。訳語選定についてクライアントから照会された時でも、こうした資料があれば堂々と答えられますね。
また、こうした知識が原文だけでなく英文も頭に入っていると、何も知らずに訳出するよりも早く翻訳することができます。日頃から資料には目を通しておくのがベストです。