医療翻訳に役立つ資格・検定試験 (語学編)

医療翻訳

医療翻訳に必要なものには、大きく分けて次の3つがあります。

高い語学力
医薬の専門知識
翻訳技能

実は、こうした知識や技能を習得するのに、資格・検定試験の勉強が役立ちます。

この記事では、医療翻訳を始めるために必要な語学力アップに役立つ資格・検定試験をご紹介します。

また、このサイトでは英語を中心に話を進めますが、最近は中国語による翻訳も需要が多くなっています。

中国語での翻訳を目指している方は、ぜひ中国語の資格・検定試験も挑戦してみてください。

 翻訳工房ステラ
翻訳工房ステラ

本業は、米国医療機器メーカーで働く医療翻訳者。副業は18年目になりました。英語で副業したい人にわかりやすく解説します。

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英語の各資格・検定試験とCEFRとの比較

引用:文部科学省

こちらは文部科学省が発表している、英語の各資格・検定試験とCEFRとの比較表です。大学受験にも利用されており、英語の能力を測る正式なものとして活用されています。

CEFRとは、Common European Framework of Reference for Languages(ヨーロッパ言語共通参照枠)といい、ヨーロッパ全体で外国語の学習者の習得状況を示す際に用いられるガイドラインとなっています。

語学力アップに役立つ資格・検定試験 4選

語学力アップに役立つ資格・検定試験には、次の4つがあります。

では、それぞれどんな試験なのか見てみることにしましょう。

実用英語技能検定(英検)

引用:公益財団法人 日本英語検定協会
試験名実用英語技能検定(英検)
実施時期年3回(6月・10月・1月)
受験資格学歴・実務経験は不問
受験料1級: 11,800円
準1級:9,800円
2級: 8,400円
準2級:7,900円
各級の目安1級: 大学上級レベル
準1級:大学中級レベル
2級: 高校卒業レベル
準2級:高校中級レベル
問合せ先公益財団法人 日本英語検定協会

>>試験の申し込みはこちら

日本人なら一度は受けたことがあるであろう英語の試験といえばこれ! 英検です。

今すでに何かしらの翻訳で実務についている人は、英検1級を持っている人がほとんどです。通訳翻訳専門の派遣会社営業マンから聞いているので確かです。

実際に医療関連の文書を訳してみれば、英検1級は翻訳をするための基本レベルだということがわかります。頑張って挑戦しましょう。

1988年に会社の語学研修でアメリカへ派遣され、1997年に7年間の駐在を経て帰国すると、英語を使わない日々を過ごしていましたが、娘がちょうど英検準1級をめざしていたこともあり、初めてながらも1級に挑戦してみることにしました。『English Express』や『English Journal』のCDを聴き、昼休みや帰りの電車内では洋雑誌(『TIME』や『BUSINESS WEEK』)を読んでわからない単語をチェックし、帰宅後に電子辞書で調べて単語帳に記入する、という勉強法をとりました。(中略)

今後は翻訳や通訳の勉強もしていきたいと考えています。ただ、翻訳も通訳のように黒子的な仕事をめざしているのではなく、いずれは国際問題に関する評論を書けるようになりたい。それが私の大きな夢なんです。(中略)

引用: K.Uさん51歳、英検1級合格(英検公式サイト)

英検の受験状況

引用:公益財団法人 日本英語検定協会

TOEIC Test (L&R)

引用:一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会
試験名TOEIC Test (Listening & Reading)
実施時期毎月2回 同日の午前・午後
実施場所各都道府県の試験会場
受験資格学歴・実務経験は不問
受験料7,810円(税込)
第300回・第301回公開テスト【2022年8月21日(日)】より定員制が終了します。
出題内容リスニング 100問 (45分)
リーディング 100問 (75分)
問合せ先一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会

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試験内容はビジネスに関するものですが、ListeningとReadingの理解力を測かるために英検と合わせて高く評価されている試験です。

問題量が多いので、初めて受験する人は解き終わらない可能性があります。時間を測りながら問題集や過去問に取り組むといいですね。

翻訳者の募集内容を見ると、応募条件として英検1級+TOEIC900点以上となっていることが多くなっています。仕事を始めても定期的に受けたい試験の一つです。

750点→915点
英語力を客観的に判断できるTOEIC L&Rは受けておくべきだと思います。英語力についてはTOEIC L&Rの受験とそれに向けた英語学習によって、リーディングやリスニングを段階的に伸ばしていきました。世界を舞台に活躍する業界となるとインターンの選考においても英語力をアピールすることが必要なため、英語力を客観的に判断できるTOEIC L&Rは受けておくべきだと思います。(中略)

引用:Kさん-航空業界勤務、TOEIC公式サイト

公式テスト 平均スコア

引用:一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会

技術英語能力検定(旧工業英検)

引用:一般社団法人日本能率協会 JSTC技術英語委員会
試験名技術英語能力検定(旧工業検定)
実施時期年3回 (6月・11月・1月)
実施場所各都道府県の試験会場
受験資格学歴・実務経験は不問
受験料プロフェッショナル:16,500円
1級:6,400円
2級:5,300円
3級:2,600円
求められるスキルプロフェッショナル:科学・技術分野の英語文書を読みこなし、かつ正しく、明確に、簡潔に書くことができる。
1級:科学・技術に関する英文を読むことができる。
問合せ先一般社団法人日本能率協会 JSTC技術英語委員会

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こちらは工業英検という方が馴染みがある人も多いかもしれませんが、技術英検です。

技術英語とは何かというと、一言でいうと「テクニカルライティング」という科学技術情報を正確かつ効率的に伝達するための文書作成の一般的な技法です。

技術系の翻訳をするには、少なくとも1級、できればプロフェショナルのレベルが求められます。医療系、理系のバックグラウンドがない人こそ、1級取得でアピールしましょう。

英検やTOEICほど必須ではありませんが、テクニカルライティングが身につくという点において、勉強して損はない資格・検定試験となっています。

日→英(和文英訳)の翻訳者を目指すこと、さらに自分で英文を起こしたり、他人の英文を添削する力もつけたいと思い、受験を決めました。これまでは英→日(英文和訳)の翻訳者として活動していましたが、勉強を通してつけた力で、日→英(和文英訳)の翻訳者としての登録に至りました。(中略)

引用:フリーランス翻訳者、2016年工業英検1級合格(技術英検公式サイト

医療機器メーカーで英文マニュアル作成を3年、特許事務所と翻訳会社で特許翻訳を16年、実務で英文テクニカルライティングに関わる仕事に携わってきました。今、機械翻訳が話題となっていますが、MT訳文の正誤判断ができるのは、人間だと思います。正誤判断ができる実力を第三者的に確認できるのが工業英検1級ではないでしょうか。対外的にアピールできる手段になると思ったことも受験のきっかけとなります。(中略)

引用:㈱知財コーポレーション勤務、2018年度工業英検1級合格(技術英検公式サイト

実施結果(受験者数・合格者数・合格率)

引用:一般社団法人日本能率協会 JSTC技術英語委員会

中国語検定試験(中検)

引用:一般財団法人 日本中国語検定協会

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中華圏の人口の多さから、以前から医療翻訳の需要は多くありましたが、近年では、特に日本での診療希望が急増しているため、中華圏の患者に対しては中国語での対応が増えています。

製薬や医療機器などだけでなく、医療機関のHPやビジネス文書など、文化や嗜好なども加味しながらの翻訳が求められます。

今の自分の実力を、きちんと測ってみよう!

医療翻訳に役立つ資格・検定試験(語学編)を解説してきましたが、いかがでしたか?

語学力をアップするためにおすすめな資格・検定試験は、次の4つです。

今の自分の語学力を測るためにも、これらの試験を一度受けることをおすすめします。目標は英検1級+TOEIC900点以上です。

そんなものは関係ないよという人もいますが、翻訳者応募の最低条件である場合が多いし、それぐらい取れていないとまともな翻訳はできないので必要です。

英語がすでに出来上がっている人は、中国語を勉強して間口を広げるのもいいですね。